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令和4年第2回定例会 令和4年6月10日(金) 一般質問

1 GIGAスクール構想推進における本市の現状について
 (1)ICT端末等の不具合の発生状況の有無は。また、その際の対応はどのようになっているか
 (2)ICT端末を使用した授業について、教育現場(教職員や児童・生徒など)からどのような意見や要望が上がっているか
 (3)総合教育会議で議論のあった児童・生徒を対象にしたICT端末活用状況把握アンケートの結果をどのように捉えているか

2022-0610
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◆德重政時議員
 議長のお許しをいただきましたので、通告済みの1項目3点について質問をいたします。
 市長が就任直後の令和2年9月開催の定例会で、5つの重点項目を掲げ、次のような力強い所信表明をなされました。

 市民の皆さんが納得感とわくわく感を持てるまちづくりに取り組んでいく。

 その先に住んでよかったと誇りを持てるまちを目指す。

 そのためには、市が実施する取組について、積極的に意見を伺う機会を持ち、目指す方向性など市民に理解していただくことで、施策に対する納得感を持ってもらえるよう取り組む。

 地域づくりは人づくりという考えを基本とし、人の成長をまちの成長につなげていき、人づくりの先進地域になることを目指す。

 市民の皆様の声を広く聞き、誰一人取り残さないという思いを市役所全体で共有し、市民のための仕事をしているという意識を持って日々の仕事を進めてまいります。

 そして、三原を子育て応援、教育の先進地域へとして取り組む。

 国の推奨するGIGAスクール構想を推進することにより、小・中学校における学ぶ環境や学び方が大きく変わる大事な局面と認識している。

 教育が三原市の強みと言えるように、教育委員会と連携し、しっかりと取り組んでいきますと述べられました。

 それから1年9か月が経過しました。私は、先月の25日、同僚議員と共に令和4年度第1回三原市総合教育開議を傍聴しました。その項目の一つは、学力に関する現状とGIGAスクール構想の推進でした。
 一方、小・中学校への学習用端末の配備から1年が経過した4月17日から21日にかけての読売新聞には、小・中学校500校を対象にしたアンケートなどに基づくデジタル教科書を問うと題した興味深い連載がありました。

 初回記事の冒頭に、機器の不具合への対応や学力向上への検証が不十分と感じていることを理由に、多くの学校が不安を抱えているとありましたので、本市の小・中学校でのICT端末の活用への取組状況や課題などについて伺います。
 まず、1点目、ICT端末等の不具合の発生状況は、またその際の対応はどのようになっているか。
 2点目、ICT端末を使用した事業について、教育現場、教職員や児童・生徒などからどのような意見や要望が上がっているか。
 3点目、総合教育会議で議論のあった児童・生徒を対象にしたICT端末活用状況把握アンケートの結果をどのように捉えているか。
 以上、3点について見解をお伺いします。

▼陶 範昭議長
 木村教育部長。

▼木村敏男教育部長
 御質問1点目の不具合の発生状況、その際の対応についてお答えいたします。
 令和3年度の故障発生状況は、ICT端末6,932台中、有償修理57件、無償修理64件、合計121件であります。電源制御、充電機能、キーボードへの対応が主なものであります。
 ICT端末の故障への対応については、有償修理のうち4件は故意あるいは重大な過失があると思われる状況でしたので、保護者に事情を説明し、理解を得た上で、費用負担していただいておりますが、学校、家庭など使用場所を問わず、通常の使用による故障の場合は、費用は市が負担し、修理しております。
 また、修理の際は、各学校にあるICT端末を活用することで、児童・生徒が授業に臨むことができるよう、対応しております。
 今後も故障には速やかに対応するとともに、児童・生徒が安心して活用できるよう、努めてまいります。
 御質問2点目のどのような意見や要望が上がっているか、3点目のアンケートの結果をどのように捉えているかについて併せてお答えいたします。
 児童・生徒に関しては、10月と2月に行った活用状況把握アンケートによると、ICT端末を利用する授業は楽しいですかという質問に対し、2回とも小学生、中学生いずれもとても楽しい、少し楽しいという肯定的な回答が9割程度に達する結果となりました。

 また、ICT端末を利用する授業は楽しいですかという質問とICT端末を利用することで勉強がよく分かりますかという質問の回答をクロス集計したところ、楽しいかつ分かりやすいと肯定的に答えた児童・生徒は、全体の8割を超えています。

 楽しむということは、本当に大切なことです。

 ICT機器は万能ではありませんが、今回のアンケートから見れば、現在の児童・生徒にとって、ICT端末を活用することは、有益であろうと考えております。
 教師に関しては、活用状況把握アンケートに対し、まだ十分使い慣れていない、リテラシーが追いついていかないといった声が上がってきております。

 そこで、基礎から学ぶICT端末活用研修を5月に実施したところ、修了後、ふだんでは質問できないことや聞けないことを知ることができてよかった、やらなければという気持ちが湧いてきた、次は具体的な授業での活用方法を学びたいといった感想をいただいております。

 今後は、ICT活用の特性、強みを生かしながら、今求められている主体的、対話的で深い学びの実現に向けて、児童・生徒の活用スキルの定着とICT端末を授業に活用することに不安を感じている教員や能力開発を望む教員への研修など、着実に進めてまいります。

▼陶 範昭議長
 15番德重議員。

▼德重政時議員
 御答弁いただきました。再質問をいたします。
 1点目の質問に対する答弁に、ICT端末の有償修理のうち4件に故意あるいは重大な過失があると思われる状況であったとのことですが、どのような事案だったのでしょうか。
 2点目の質問への答弁で、授業が楽しいですかの問いに、とても楽しい、少し楽しいという肯定的な回答が9割、勉強がよく分かりますかの問いに、よく分かる、少し分かると答えた児童・生徒が全体の8割を超えたとのこと。

 効果が発揮されているかのような答弁がありましたが、よく分かる以外の回答をした子は、少し分かると答えた子でもしっかりできないまま次の段階へ進むことになりますし、またあまり分からない、よく分からないと答えた児童・生徒が1割前後いることも大問題であります。

 ここに目を向け、しっかりと取り組んでいかないと、しっかり理解できないがゆえにつまずいたり、いつまでも取り残されたままとなったりするのではと強い懸念があります。

 また、新聞記事によれば、ICT端末を活用することは有益とばかりに突き進むことが思わぬ弊害を生んでいることも報告されております。

 読売の調査では、約半数の学校が弊害として学習と関係ないサイトの閲覧を上げていますが、閲覧サイトの48%がゲームで、47%がユーチューブなどの動画とのこと。

 さらに、授業中の関係ないサイトの閲覧が41%あるだけでなく、教師が注意してもやめないどころか逆ギレする例もあります。

 教育効果以前に授業として成立していない例も報告されております。

 また、本市においては、このような事例はないと伺ってておりますが、他の児童のIDやパスワードを勝手に使用する不正アクセスやいじめが多発しているとのことですし、目的外使用の場所は、家庭が54%とのことでもあります。
 そこで、本市の実態とこれら弊害への対応について答弁を願います。
 また、3点目の質問への答弁にありましたアンケート資料の1-3で、昨年の10月と本年2月の回答結果を比較すると、各回答に5%以内の差しかありません。

 小学生であろうが、中学生であろうが、4か月たっても少しできる子は少しできるのまま、あまりできない子はあまりできないのまま、ほとんどできない子はほとんどできないのままであり、よくできると回答した子は4割前後にすぎないことが分かります。
 次に、資料1-4、タイピングで、各学年の回答を見ると、よくできるの割合は、小2から小3で大幅に伸びて4割台に乗るものの、その後は伸び悩んで5割を超えないことが分かります。

 よくできると答えた児童・生徒以外には、学習内容を習得する前に端末の操作という壁が立ちはだかっていると考えられます。このことをどのように捉えられ、どのように対応をされているのかをお伺いいたします。

▼陶 範昭議長
 木村教育部長。

▼木村敏男教育部長
 再質問1点目の有償修理のうち、故意あるいは重大な過失については、きょうだいで遊んでいてICT端末を踏んだ事案が1件、犬がアダプターをかんだ事案が1件、アダプターを紛失してしまった事案が1件、それぞれ家庭内で起こっております。また、児童が小学校でICT端末を投げてしまった事案が1件起きています。
 御質問2点目の新聞報道であった全国主要自治体調査のような実態については、三原市立学校においてはICT端末の利用に関し、教師の注意を聞かず授業が成立しないといった事案やICT端末の利用によるいじめの事例は、学校からは特に報告は受けておりません。
 また、家庭での利用に関しては、フィルタリングでの利用時間、接続の制限をかけるとともに、学校から児童・生徒、保護者にICT端末の活用と取決めを提示、確認しているところであります。

 Society5.0の時代を生きていく子どもたちは、スマートフォンなどのデジタルデバイスで様々な情報に接することについて、正しく恐れ、適切に活用できる力を身につけることが必要であると考えています。

 したがって、児童・生徒が情報モラル、デジタルシティズンシップの重要性を理解し、自律的に活用できるよう、各学校に指導してまいります。
 御質問3点目のタイピングの未習得が端末操作の壁になるのではないかについてお答えします。
 ICT端末を活用する際に、ID、パスワード、インターネットのアドレスは、アルファベットと数字の組合せが基本となっており、タイピングの基礎として、小学校3年生で学習するローマ字、アルファベットの習得は、欠かせないものの一つであります。

 小学校3年生以上のどの学年においても、キーボードで文字を打つことがよくできる、少しできるの回答が85%前後、あまりできない、できないの回答が15%前後となっていることは、小学校3年生でのローマ字の習得の積み残しが後の端末活用の基盤となるタイピングに影響しているのではないかと推測しています。

 ローマ字については、本来であれば、国語科で習得するものでありますが、ICT端末を活用し、楽しみながらローマ字入力でのタイピング技術の習得ができるよう、キーボード入力練習サイトを各学校に紹介し、授業に取り入れ、活用を図っているところであります。
 いずれにしましても、ICT端末の活用、タイピングとローマ字、アルファベットの習得は、児童・生徒の段階的な成長に必要なものでありますので、各学校での取組が進めることができるよう、指導してまいります。

▼陶 範昭議長
 15番德重議員。

▼德重政時議員
 答弁いただきました。しっかり取り組んでいただきたいことを強く要望いたします。
 最後に、市長の見解をお伺いいたします。
 2015年、OECD経済協力開発機構は、72か国地域から約54万人が参加した学習到達調査を根拠に、

 1、ICTの教育への活用は、読解や数学、理科において成績向上に影響がない、

 2、ICTを授業であまり使わない国では、ICTを平均的に使う国よりも読解力が劇的に向上した、

 3、学校にコンピューターの数が多い国ほど数学の成績は下がる、

 4、学校でコンピューターを閲覧する時間が長いほど、読解力の成績が下がる

と発表しました。

 OECDの発表は、岡田市長が日頃から口にされているだけでなく、冒頭で示したGIGAスクール構想にある誰一人取り残さないに逆行する取組になってしまうのではないかと大変懸念しております。

 国内外を問わない有識者のコメントやエビデンスに対する市長のお考えをお聞かせください。

▼陶 範昭議長
 岡田市長。

▼岡田吉弘市長
 これまでの本会議での答弁において、デジタル、アナログという2項対立的な考え方ではなくて、これまで蓄積してきた教育実践の上にICT機器の活用を取り入れるというのが大前提であり、これまでの実践とICT活用とのベストミックスを図り、子どもたちの学ぶ力を伸ばしていくことが望ましいと認識していますとお答えをしております。

 OECDの2015年のニュースリリースには、既に教育におけるICTに大きな投資をした国でさえ、国際学習到達度調査の読解力、数的リテラシー、科学的リテラシーの成績に目立った向上は見られませんでしたと記されている箇所があります。

 ただし、そのリリースの冒頭には、デジタル能力の格差を解消し、今日のようなグローバル社会で必要とされる能力を全ての生徒に提供できるよう、学校ではうまく技術を取り入れた授業が行われるべきですという総括が示されております。

 この点については、OECD教育スキル局長の学校教育制度は、授業の中にテクノロジーを組み込むより効果的な方法を見つけ出さなければならないというコメントもされております。

 ICTを活用した教育には、様々な御意見があることは承知をしておりますけれども、私は学校ではうまく技術を取り入れた授業が行われるべきという考え方に心から同意するものであります。

 今後もこれまでの実践とICT活用とのベストミックスを図り、子どもたちの学ぶ力を伸ばしていけるよう、教育委員会と調整を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。

▼陶 範昭議長
 15番德重議員。

▼德重政時議員
 御答弁ありがとうございます。

 しっかり教育委員会と調整をしながらやっていただきたいと思います。
 結びに、みはらGIGAレボリューション・セカンドステージと題した資料では、全ての児童・生徒が、ICT端末の活用場面や活用方法を自ら考え、選択し、活用できるを標榜されています。

 また、先生が教える学びから全ての子どもが自ら考え、行動する学びへと来年度末までにステップアップしていくこととなっていますが、自ら考え、選択し、活用できるのも揺らぐことのない土台が確立されていればこそであります。

 国内外の有識者のコメントや国際機関による調査結果を鑑みますと、児童・生徒は言うまでもなく、教職員や保護者の方々の負担と心労は相当なものと思慮されます。

 何事もせいては事を仕損じると言います。次世代を担う子どもたちは、未来の三原の宝であり、日本の宝でもあります。

 児童・生徒や保護者の方が、将来、住んでよかったと誇りを持てるまちと言えるような誰一人取り残さない公教育を活用しようではありませんか。
 以上で私の質問を終わります。

▼陶 範昭議長
 德重議員の質問を終わります。

活動報告 第22号
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