平成30年第4回定例会 平成30年10月15日(月)一般質問
1.普通教室へのエアコン完備について
(1)平成32年度中の完備に向けたスケジュールは、順調に進んでいるか
(2)早急に全国の普通教室にエアコンを完備したいとの国の方針を受け、更なる前倒しは可能か
(3)なぜ、799万2,000円を上限とした調査を外部に委託するのか
2.平成30年7月豪雨災害発生時の天満市長の動静について
(1)7月5日12時38分に災害警戒本部が設置されて以降、5日後の10日13時に避難勧告が解除されるまでの、市長の動静は
3.仮設住宅と空き家の活用について
(1)被災者優先の立場で状況等を鑑み、みなし仮設住宅の入居期限を2年とできないか
(2)住宅応急修理制度を利用した被災者が、仮設住宅に入居できないことに対応するため、現状において、居住が可能で安全性が高いと判断できる空き家を被災者の居所として活用できないか
(3)島嶼部と中山間地の空き家を有効活用した地域間交流によって、地域の防災力向上を図られないか。例えば、地域間の人的交流の促進のため、空き家を「ウィークリー市内別荘」や「ウィークリー市内移住」のような形態で活用する考えはないか
◆徳重政時議員
議長より発言のお許しを得ましたので、通告しております3項目について質問をいたします。
その前に、このたびの豪雨災害で亡くなられた方々に対し、衷心より哀悼の誠をささげます。
また、今なお不自由な生活を余儀なくされている多くの被災者の皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
さて、このたびの市内各地域での未曽有の災害、特に甚大な被害が発生した本郷町船木地区を初めとする災害に対しては、多くの市民の皆様から人災ではないかとの悲痛な声をお聞きしました。
私も人災の部分もかなりあったことは否めないと思います。
災害発生後には、これまでにお話を聞けなかった方々ともお話しする機会がありました。
その中には、こんな御意見もかなりありました。
議会では、三原テレビで見てもわかりやすい質問に心がけてほしいとか、答弁の大半が議員の質問の復唱で、肝心の理由説明も回答も短いし、検討するの言葉で逃げているものが多いなど、非常に厳しい御忠告やお叱りをいただきました。
私も含めて真摯に反省し、改めなくてはなりません。
私が最後の質問者でございます。
つきましては、そのような御忠告、お叱りを受けないように私も心がけますので、答弁者におかれましても、同様に心がけていただくようお願いいたしまして、質問に移ります。
1項目め、公立学校の普通教室へのエアコン完備についてお伺いします。
この件に関しては、以下に述べる3つを主な理由に、平素から行政サイドに働きかけ、4年前の9月議会においても訴えました。
1つ目として、三原市立の小・中学校に通う児童・生徒の学びの環境や教職員の職場環境を充実させなければならない。
2つ目として、夏場を中心とした暑い時期の自然災害などを想定したとき、避難場所に指定されている学校に空調が整備されていないと、熱中症などで体調を崩されたり、中には災害関連死と判断される方が出ることが懸念される。
3つ目として、復旧・復興の工事で発生する砂ぼこりなどから、目や呼吸器系などの健康を損なわないために教室の窓を閉め切らなければなりません。
夏場を中心とした暑い時期を想定したとき、教室内が蒸し風呂と化し、体調を崩されたり、亡くなられたりする児童・生徒や先生方が出るのではないかと懸念されたからであります。
4年前の9月議会で私が質問したとき、そして最近まで同僚議員が再三質問されたときも、エアコンの早急な完備に積極的な姿勢とは思えませんでした。
しかし、本年3月の予算特別委員会では方針が変わり、平成33年度中には完備したいとの意向が示されました。
梅雨から秋にかけての台風シーズンなどには、毎年のように大規模な災害が発生していることや、その被害が年を追うごとに激甚化していることを踏まえ、一刻も早く本市の小・中学校にエアコンを完備しなければならないとの思いが一層強くなり、6月議会で再度質問をいたしました。
そうしたところ、PFI方式を導入することで、当初の予定を1年前倒しし、平成32年度中にはエアコン完備を実現したいとの意向が示されました。
そして、教育委員会が9月21日付で発表した三原市立小中学校及び幼稚園空調設備整備PFI導入可能性調査業務にあるスケジュールには、10月10日を質問書、参加表明書の期限、10月23日を企画提案書提出等の期限、10月26日にプレゼンテーションを実施し、10月30日に選定結果を通知することとなっております。
この調査業務には、799万2,000円が予算組みをされております。
一円でも多くの金額を被災者支援や復旧・復興に使うべきにもかかわらず、本市職員の知見、経験を活用せず外部に委託していることに対して、何のために職員がいるのかと多くの市民から疑問、批判の声が上がっております。
私も書類一式、全21ページに目を通しましたが、特に仕様書に記された業務内容からは、見識ある優秀な職員をもってしても、検証が極めて困難なことなのかと素人ながらも疑問を感じるところであります。
さて、今月3日の新聞報道によりますと、4月30日から9月30日の間だけでも9万5,073人が熱中症で救急搬送されたと報じられています。
また、ことし7月17日の愛知県豊田市では、校外学習で虫取りや遊具を使った遊びをした後、熱中症を発症した小学校1年生の男子児童の意識がなくなり、病院に救急搬送されましたが、命を落とす大変痛ましい結果となりました。
そこで、3点お尋ねします。
1点目、平成32年度中の完備に向けたスケジュールは、順調に進んでいるのか。
2点目、10月6日の新聞報道にあるように、このたびの大規模な豪雨災害などを受けて、国は早急に全国の公立学校の普通教室にエアコン完備のための臨時交付金を新たに創設する方針を示し、さらに12日には、政府第1次補正予算案の中に、クーラー設置推進費に800億円を割き、希望する全ての自治体に1年限りの臨時交付金として配るとありました。
そこで、スケジュールをさらに前倒しすることは可能であるか。
3点目、被災地域の方々の現状をおもんぱかると、なぜ799万2,000円を上限とした調査費を外部に委託するのか、どうして職員の知見、経験を生かさないのか、以上3点についてお伺いいたします。
○仁ノ岡範之議長
大畦教育部長。
〔大畦益司教育部長登壇〕
◎大畦益司教育部長
御質問をいただきました普通教室へのエアコン完備についてお答えいたします。
1点目のスケジュールは順調に進んでいるかにつきましては、6月22日の議員全員協議会において御説明をさせていただきましたとおり、7月の広島市での民間事業者の意見交換会への出席、8月の三原市内の事業者の方々との学習会を経て、現在、導入可能性調査の事業者公募の段階に入っており、着実に歩みを進めているところであります。
御質問2点の早急に全国の普通教室にエアコンを完備したいとの国の方針を受け、さらなる前倒しは可能かにつきましては、今年度の補正予算として、国が考えていると報道されている臨時交付金や文部科学省が来年度予算要求している学校施設環境改善交付金に関しましては、現在その詳細に関する対象や財政負担について明らかになっている状況に至っておりません。
今後、補助制度の内容を注視しつつ、PFI方式の導入の基本的な考え方である学校間の公平性の確保、事業期間の短縮、財源の確保の観点を踏まえ、本市にとって最善の方法等を考え、選択しながら進めていこうと考えております。
御質問3点目のなぜ調査を外部に委託するのかにつきましては、学校の空調施設は、一般家庭が部屋ごとに1台ずつ設置するようなものではなく、職員室からの制御を前提とした空調システムをコンクリートづくりのビルに後づけ工事を行うものであります。
そういった大規模な施設整備となりますので、将来的な財政負担の軽減とともに、施工期間の短縮の可能性についての調査業務を早急かつ確実に実行するためには、専門的知識を有する事業者の力が必要であり、先行事例の多くも知見を有する事業者の支援を受けているところであります。
本市におきましても、こういったPFI法の規定に基づく専門的事項の整理を含む調査業務に関する金融、法務、技術等の知識を蓄積している民間事業者のノウハウを活用していくことは、第三者の客観的な評価を得られるとともに、一刻も早く事業着手したい状況の中で、極めて有効な方法であると考えております。
学校への空調施設整備につきましては、財政負担の軽減と平準化を図り、学校教育環境を向上させることを前提に、可能な限り早く完了できることを目指して進めていきたいと考えておりますので、御理解をいただきますようよろしくお願いいたします。
○仁ノ岡範之議長
12番徳重議員。
◆徳重政時議員
答弁いただきました。外部委託する理由については、大規模な施設整備となり、将来的な財政負担の軽減とともに、施工期間の短縮の可能性についての調査業務を早急かつ確実にするために、専門的知識を有する事業者の力が必要とのこと、これ以上は問いません。
いずれにしても、一刻の猶予もありません。ただいまの答弁を傍聴されている方や三原テレビなどの画面を通して多くの市民の皆様が見られております。
今後の進捗状況など詳細については、次回以降の定例会などで確認することといたし、次の質問に移ります。
2項目め、平成30年7月豪雨災害発生時の天満市長の動静についてお伺いいたします。
多発化かつ甚大化した自然災害や昨年2月12日以降に相次いだ北朝鮮によるミサイル発射などの非常事態に対応できるよう、市長就任以降の天満市長は、市民の生命と安全を守る責務を果たすため、危機管理監の設置や効率的な指揮命令系統の整備充実などに懸命に取り組んでこられました。
市長と市議会議員では立場は異なりますが、非常事態への備えを充実されることで、市民の生命と安全を守らねばならないという使命感を共有し、私も平素より過去の災害などを検証した資料などに目を通すことで、知見を蓄え、三原市を災害に強いまちにできるよう、行政に働きかけたり、議会で訴え続けたりしております。
それら資料などからわかることは、司令塔かつ最終責任者である総理大臣、都道府県知事や市区町村長に課せられている責務は、平時と非常時で異なることです。
平時に必要とされる責務には、非常事態に対応できる体制、指揮命令系統を技術の進歩などを取り込んで整えておくことやより充実させておくことなどが上げられております。
一方の非常時は、非常事態への対応を専門とする部署の一員として、日々の業務、職務に励み、平時に整えられた体制、指揮命令系統に従って、対応中の職員、本市の場合を例に挙げれば、水害、火災の防御、救難、救助業務などを主な業務内容とする消防本部の職員、地域防災、危機管理を主な業務とする危機管理監以下の職員や非常時に役目を与えられるその他の部署の職員などに原則として介入してはならないことが上げられております。
また、居場所をころころと変えず、指揮命令系統に沿ってボトムアップされた事項に対し、市長としての判断を求められたときに対応できるよう、情報が収集され、確実に連絡がとれ、ベストな判断ができる場所にいることが必須とされております。
そこで、7月5日12時38分に災害警戒本部が設置されて以降5日後の10日13時に避難勧告が解除されるまでに、司令塔かつ最終責任者たる天満市長がどのような動きをされていたのか、動静をお聞かせ願います。
○仁ノ岡範之議長
里村総務部長。
〔里村学総務部長登壇〕
◎里村学総務部長
市長の動静についてという御質問でございますが、私のほうから御答弁をさせていただきます。
まず、7月5日12時38分の災害警戒本部設置から7月6日11時に災害対策本部へ移行するまでの間につきましては、市長は予定の公務を行う一方で、災害警戒本部長の危機管理監から逐次報告を受け、気象状況や降雨の見込みについて情報収集するとともに、必要な対応の指示を行いました。
続いて、7月6日11時に災害対策本部へ移行後から7月9日4時23分に大雨警報が解除されるまでの間は、災害対策本部長として、避難指示の発令、市内の負傷者、死者、建物、道路、河川等被害状況の把握と対応の指示、また国や県、警察、自衛隊、海上保安庁等関係機関に対し、人命救助や避難行動の支援、生活再建支援を要請するなど、次第に明らかになる甚大な被害に対し、市民の生命と安全を守ることを最優先に、さまざまな対応の指示を行ったところであります。
その後、大雨警報解除以降は、災害の状況把握や国会議員や全国市長会長、福山河川国道事務所、広島県東部建設事務所三原支所との連携、支援要請を行いながら、土砂崩れ、道路、河川など被害のあった箇所を各支所職員と現地確認し、被害状況を聞き取るとともに、仮設トイレの設置、給水車による応急給水といった市民の要請に対応するなど、早期の復旧やいち早い生活再建に向けて動いてまいりました。
避難勧告解除後も、避難所や被災した大企業、中小企業への訪問、現地の確認を継続いたしましたが、被災地を目で見て、被災状況を肌で感じ、可能な限り市民の声を聞き、その後の対応に反映できるように努めてきたところであります。
よろしくお願いいたします。
○仁ノ岡範之議長
12番徳重議員。
◆徳重政時議員
答弁いただきました。
ただいまの答弁で、質問した期間中の市長の動静を把握することができました。
未曽有の大災害に対し、市民の生命と安全を守るために、昼夜を問わず、休むことなく、東奔西走されたことは周知の事実であります。
被災地を目で見て、被災状況を肌で感じ、可能な限り市民の声を聞き、その後の対応に反映できるように努めてきたとありました。
まさに復旧・復興は今からが正念場であります。
これまで、そして今後とも被災者の声を真摯に受けとめ、行政に反映されるよう、市長を先頭に職員の皆様の格段の奮起を強く要望いたします。
市長の御決意をお聞かせいただけますでしょうか。
○仁ノ岡範之議長
天満市長。
〔天満祥典市長登壇〕
◎天満祥典市長
徳重議員の質問にお答えをいたします。
7月6日に大変大きな災害が発生いたしました。
いろいろと災害対策本部を開きまして、各部長も全部集めました。そして、徹夜会議もやりました。
そういったその職員にも非常に我々迷惑かけた、そしてまた一生懸命取り組んだということもございます。
やはり市民を大事にしようというところの原点に立ちまして、いち早く近隣の市長さんあたりに連携をとりましたし、また市議会議員の皆様にも私が携帯で全員に連絡をいたしました。
そういった非常時に対しては、災害対策本部ができておるというところには速やかに対応していただきましたことは事実でございます。
しかし、災害対策本部が対応できなかったことと、それから各箇所で訓練をしていなかったという点もあります。
これからどんな災害が各地でどんな状態で起こってもおかしくないという状況でございますので、危機管理監を初め、まだまだ今回の教訓を糧に、災害対策本部のあり方、それから各自主防災組織のあり方はこれから大いに反省すべき点でございます。
この土地は我々が一生懸命守るんだということであれば、まだまだ連絡がいち早く行ったと思います。
そして、三原市には、3選挙区がございまして、それぞれの国会議員の先生方といち早く連携をいたしました。
そして、各先生方には、全て長靴を履いていただきまして、各地区を回りました。
そして、我々がこれからできること、それから激甚災害の指定を受けましたので、国会議員の先生方にぜひとも三原市の一般予算を使わずに国の予算でひとつお願いをしてほしいということは何度もお願いをいたしました。
そのかいありまして総理大臣が来られまして、国交大臣も来られました。
農林大臣、厚生労働大臣、そして自民党のそれぞれの対策の方々が来られました。
私のほうはそういったところは全て皆さんのほうによろしく頼みますよと。
激甚災害の指定を受けましたので、できるだけお願いをしますということの話もいたしました。
それからまた、本郷町におきましては、それぞれの避難所なり、そして企業も回りました。
大企業が4社、中小企業を含めて250社でございますが、それも全て回りました。
大企業の社長さんもおいでてくださいましたが、なぜここのところがつかるのかということを非常に怒られました。
二度とつかるようなことにしてくれるなということを約束してほしいと。
非常に強いけんまくでお叱りを受けました。
私のほうは、国との約束もしておりますので、二度とそのようなことがないように努力をするから、ぜひともここから動かないでほしいということも話をいたしました。
そして、今立ち上がりに懸命に取り組んでおりますが、大企業の方々にそういった補助金なり助成金が出ないということでございましたが、これも国のほうに要請をし、できるだけ大企業に対しても補助金なり助成金なり見舞金なりが出るようにしてほしいということもお願いをいたしました。
そして、本郷町の商工会におきましては、中小企業庁の方々、経済産業省の方々も来られまして、いち早い中小企業の復興、それから再建に向けたそれぞれの相談会も開きました。
そういったところにいろいろと取り組んだわけでございますが、今回の災害の程度は非常に多ございます。
4,045戸、700ヘクタールが水没をいたしました。今回、大変おくれておりますが、県からの災害の見舞金なり義援金なりをこれから配分していきます。
被害に遭われた方々に対しては、遅くなって大変申しわけなかったんでございますが、これからそういった配分もいたしまして、そして三原市におけるいろんな措置にも取り組んでいきたいと思います。
これからまだまだ、それぞれの家に対しては、土砂の撤去なり、そして再建に向けて非常に苦しい状態が続いておりますが、できるだけ我々各担当部長とそれから執行部で力を合わせながら取り組んでいきますので、どうぞ御理解いただきまして、そしてまたこのようなことがないように、最善の努力をいたしまして、これからいち早く避難をしていただく。
それからやはり、そういった情報伝達をしていくということをこれから非常に心がけますので、これから我々も精いっぱい訓練なり、そしてこういった関係を構築しながら取り組んでいく予定でございますので、どうか御理解いただきますようによろしくお願いいたします。
○仁ノ岡範之議長
12番徳重議員。
◆徳重政時議員
御答弁ありがとうございました。また、市長におかれましては、被災者の皆様方、大変心強い御決意を賜りまして、皆さん一層あすに向かって頑張っていただけることと思います。どうかよろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
3項目め、仮設住宅と空き家の活用についてお伺いします。
平成25年春に天満市長が就任された直後の出来事であります。
それは、東日本大震災の被災者に対する応急仮設住宅の無償提供について、災害援助法に定められた提供期限の2年を1年延長するよう、国から全国の自治体に対して通知されたにもかかわらず、受け入れは1年間の前提だったと、その前年の平成24年の春に災害救助法に定められた提供期限に反するわずか1年で本市が打ち切ってしまったことが発覚したことであります。
これは、裁量権の逸脱や違法行為で済まされる問題ではないどころか、被災者という社会的弱者の方々の生存権を侵す極めて深刻な人権侵害にも当たる事案でありました。
しかし、平成25年春の市長選で当選された天満市長が、本市の実態に気づかれたことで、無償提供が再開されることになりました。
なお、東日本大震災を受けて、本市に避難され、仮設住宅として提供されていた市営住宅に避難されていたのは全5世帯で、避難から1年以内で2世帯が自主退去、1年以降2年以内で1世帯が民間アパートに転居、家賃を払って入居続けられていたのは、2世帯でした。このときに天満市長が下された判断を法にのっとった当たり前のことというのは簡単ではありますが、被災者の心情はいかばかりであったかと推察いたすところでございます。
それでは、質問の1点目、ことしの夏は地震、台風、豪雨などによる災害が相次いだため、重機や車両、工事従業者の人手不足による人件費や物資の高騰があります。
また、今月初めに発表された日銀の短観は、3四半期連続で悪化しております。
さらに、来年の秋には消費税10%への引き上げも予定されております。
これらを踏まえると、既に入居中の方、これから入居されようとしている方々の経済的負担が少しでも軽くなり、少しでも心に余裕を持って暮らせるようにと、そして何より入居者の方々が少しでも力強く仮設住宅から新しい生活へと羽ばたけるよう、本市に設置された応急仮設住宅の入居期限が現状で6カ月となっているところ、災害救助法では2年が期限とされていることを踏まえ、被災者優先で入居期間を2年とする市長の寛大な御判断をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
2点目、住宅応急修理制度を利用した被災者が、仮設住宅に入居できないことに対応するため、現状において居住が可能で安全性が高いと判断できる空き家を被災者の居所として活用できないかについてお伺いします。
一般に仮設住宅と呼ばれる応急仮設住宅は、住家が全壊、全焼、または流失し、居住する住家がない者であって、みずからの資力では住宅を得ることができない方々の一時的な居住の安定を図るために設置されるもので、設置費用や家賃は、国庫負担となっております。
そして、1戸当たりの平均の広さが9坪、費用561万円以内などの目安や災害発生の日から20日以内に着工して速やかに設置すること、原則として2年の供与期間などが定められています。
本市でもあやめヶ丘団地内に仮設住宅が設置されただけではなく、民間の賃貸住宅を借り上げたものや、市営住宅や県営住宅などのみなし仮設住宅が用意されておりますが、9月末時点で応急仮設住宅31戸中に12戸が居住され、またみなし仮設住宅へは、当初、187戸の入居希望者の中に、現在130戸の申し込みがあるとのこと。
提供可能な住宅は、余裕があるにもかかわらず、入居をちゅうちょされておられるのではないかと推測されます。
その理由は、今月4日のNHKでも取り上げられたように、住宅応急修理制度を利用すれば、仮設住宅に入居できない。
仮設住宅に入居すると、住宅応急修理制度を利用できないことが、災害救助法に定められているため、応急修理制度を利用されている方が入居できなくて、二者択一を迫られているからであります。
応急修理中の住家に暮らすことが、防犯上の観点からも好ましくないことは自明の理であります。また、本市が人口減少に歯どめがかからない中で、今回の災害を受けて、三原市を後にするのではなく、三原を愛し、三原に住み続けることを願い、可能であれば愛着のあるもとの家に戻りたいとの思いを持った方がおられることはまことに喜ばしいことで、そういった方々にこそ、優しい行政でなければならないことに異論はないはずであります。
そこで、この1点だけをクリアすれば、仮設住宅に入居できる方々のために、何かよい方法はないかと思案をいたしました。そうして考えついたのが、本市に眠る宝、空き家の利用でございます。
3点目、島嶼部と中山間地の空き家を有効活用した地域間交流によって、地域の防災力の向上を図られないか。
例えば、地域間の人的交流の促進のため、空き家をウイークリー市内別荘やウイークリー市内移住のような形態で活用するお考えはないでしょうか。
全国的に問題となっている空き家については、本市でも平成27年度から28年度にかけての調査で、市内全体に1,620棟あり、うち619棟が現状で活用可能とわかっております。
そこで、先ほど挙げた一つの条件をクリアできていないがために、応急仮設住宅に入居できない方々のために、それらの中から空き家の所有者の協力が得られるもので、現状で活用可能で、今回の災害の状況やハザードマップを考慮して、安全性が高いと判断できるものを応急修理制度以外については、仮設住宅と同じ条件で被災者の方々に入居いただけるように、また協力いただける所有者には、活用期間中の固定資産税を免除するなど、法律の範囲内におさまる条例の法整備をすることで、仮設住宅のかわりに空き家を利用できる制度を設けてはいかがでしょうか。
また、気候変動などによって年を追うごとに甚大化している自然災害を考慮すると、自宅が被災しても早急に住まいを確保できる災害に強いまちとなることや、空き家として眠っている宝を有効に利活用することにも寄与するため、同様に法整備をしておくことも緊急課題と思料いたします。
そこで、似たような事例が国内にありましたら御紹介いただき、本市で実現するためには、どのような例を参考にすればよいか、また島嶼部から中山間地まで、花崗岩質の脆弱な地盤の上に本市が位置することを鑑みると、島嶼部、沿岸部を対象とした津波への備えだけでなく、土石流や土砂崩れなど、山津波への備えも必須であります。
このたびの災害発生前から志を同じくする同僚議員や地域の皆様との話し合いを通じ、島嶼部から中山間地に至る市内全域の人的交流を平時から促進しておくことが、いざとなったとき補完し合え、防災力を含む地域の力の底上げに寄与するものではないかと。
例えば、ウイークリー市内別荘であるとか、ウイークリー市内移住のような形で、短期間だけの移住が可能となる人的交流の促進を図ることや、日本の原風景を探し求めるような観光客をターゲットに、地域の方が運営する宿泊施設として空き家を活用する制度も、既存の空き家バンク制度などとうまく融合する形で法整備をしてはと思いますが、どのような認識をお持ちでしょうか、お伺いをいたします。
○仁ノ岡範之議長
中間都市部長。
〔中間真二都市部長登壇〕
◎中間真二都市部長
御質問いただきました仮設住宅と空き家の活用についてお答えいたします。
御質問1点目、みなし仮設住宅の入居期限を2年とできないかにつきましては、民間賃貸住宅の借り上げによる応急仮設住宅、いわゆるみなし仮設住宅の提供主体であります広島県の平成30年7月豪雨災害における応急仮設住宅(民間賃貸住宅の借上げ)実施要領において、広島県と被災者であります入居者との使用貸借契約の期間は、6カ月と規定されております。
また、同実施要領におきましては、災害救助の状況により、当初契約締結の日から2年間を限度として再契約ができるとも規定されており、再契約を希望する入居者は、契約終了の40日前までに広島県に申し入れを行い、広島県が入居者個々の被災の状況や住宅の再建状況を踏まえ、必要であると判断された場合は、当初契約締結の日から2年間の範囲において必要な期間が延長されることとなっております。
このため、みなし仮設住宅の入居期間を市が決定することはできませんが、個々の入居者の生活再建に向けた取り組み状況などの把握に努め、継続した入居が必要な被災者がある場合には、広島県に対し強く働きかけを行ってまいります。
次に、御質問2点目、空き家を被災者の居所として活用できないかについてお答えいたします。
本市では、このたびの災害で住宅が被害を受け、そのままではもとの住宅に居住することが困難な方へ、当面の住居を提供するため、広島県に要請し、応急仮設住宅の建設並びにみなし仮設住宅の提供を進めてまいりました。
また、災害救助法による救助以外では、市営住宅の提供も行っております。
しかしながら、現状いずれの住宅も、提供戸数に対し入居者が少ない状況にあり、この原因の一つは、被災者が応急仮設住宅への入居と併用が認められていない住宅応急修理制度の活用を選択されたことにあると推測しております。
住宅応急修理制度を申請された多くの被災者は、もとの住宅での生活再建を目指し、住宅再建に係る経済的な負担等を憂慮され、住宅の再建が完了するまでの間、被災した住宅の2階などで不自由な生活という苦渋の選択をされたものと考えられます。
このような状況から、災害救助法に基づかない住宅として空き家を活用することは、被災者にとって有益なものと考えますが、その実現には多くの課題もございます。
まず、平成30年9月末現在の本市における空き家バンクの登録物件は、32件であります。
そのうちすぐに入居が可能な物件は少ないものと思われ、仮に最小限度の改修を行い入居する場合においても、当該改修費用を被災者が負担することとなれば、住宅応急修理制度との併用による被災者の経済的な負担軽減につながらない可能性があります。
また、提供できる物件に限りがあるため、希望する全ての被災者に対応することは困難であり、住宅応急修理制度と仮住まいの確保の2つの支援を享受できる被災者と、既存制度による1つの支援しか享受できない被災者との平等性が確保できなくなることも想定されます。
加えまして、災害救助法によらない住宅支援として実施しております市営住宅の提供については、住宅応急修理制度との併用は可能でありますが、現在のところ入居可能な空き室がある状況でもあることから、市独自の制度として、被災者に空き家を仮住まいとして提供することには慎重な判断が必要であると考えております。
次に、御質問3点目、島嶼部と中山間地の空き家の有効活用による地域の防災力向上についてお答えいたします。
空き家を活用した災害救助法によらない被災者への仮住まいの提供に係る市独自の制度を創設することにつきましては、先ほどのお答えと重複いたしますが、被災者にとって大変有益な手段であると考えられるものの、空き家の確保や居住のための修理費用の負担並びに平等性の確保などの課題がございます。
また、災害時に特化して被災者へ提供する活用方法では、平常時には空き家所有者が維持管理することとなり、負担の増加にもつながることが想定されたため、御提案のウイークリー市内別荘などのような形態で平時からの空き家の活用を進める中で、災害に備えることは有効であると考えます。
国においても、空き家を災害時における住宅ストックの一つとし、みなし仮設住宅として活用することなどの検討が進められており、本市におきましても、みなし仮設住宅の入居申請の受け付け時に、空き家バンクの登録物件の情報提供を行い、1軒の空き家をみなし仮設住宅として被災者に提供しておりますが、自治体が独自に空き家を被災者に提供するといった事例は見受けられません。
今後、平成29年10月に施行されました住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律による被災者を含めた住宅確保要配慮者に対する空き家等の活用を進める新たな住宅セーフティーネット制度や本市が実施する空き家バンク制度の運用を進める中で、平時での空き家の有効活用に加え、有事の際の空き家の活用に向けた仕組みづくりや空き家の情報収集などについて検討を進めてまいります。
加えまして、災害時を想定した地域間の人的交流や空き家の有効活用につきましては、このたびの豪雨災害の検証を進める中で、地域防災計画や空家等対策計画などの関連施策と連携した取り組みを検討してまいります。
○仁ノ岡範之議長
12番徳重議員。
◆徳重政時議員
御答弁をいただきました。答弁に空き家バンクへの登録物件の中で、1軒をみなし仮設住宅として被災者に提供しているとありました。
空き家の確保、居住のための修理費用の負担、平等性の確保など、解決すべき課題も多いとは思いますが、平時よりの地域間の人的交流促進と空き家の有効活用のためにも、高知県梼原町の空き家改修促進事業や和歌山県那智勝浦町の空き家の取り組みについての事例が紹介されています。
御参考の上、実現するための方策をぜひとも御検討をください。
このことについても、今後引き続きお伺いをいたします。
最後に、今議会において、議員各位からそれぞれ指摘がありましたように、まことに残念ながら、このたびの非常時において、全くと言っていいほど役目を果たしていないと思われる一部の職員、窓口や電話で問い合わせをしたときなど、不親切きわまりない対応をされ心底落胆したなど、多くの市民の声を聞いておることは事実でございます。
真摯かつ謙虚に受けとめるとともに、早急かつ厳正に精査検証をされ、今後起こり得るかもしれない非常事態に備え、迅速かつ正確はもとより、懇切丁寧に対応すべく、市民の安心・安全を守る賢明な体制、指揮命令系統の再構築をされんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○仁ノ岡範之議長
徳重議員の質問を終わります。